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Channel: 六色 ~おそ松さん 少し悲しげな六つ子のお話~
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六色 1-8

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 その翌日も、おそ松は帰ってこなかった。

「どうしよう……。また帰ってきてないよ?」

 トド松が他の兄弟に問いかける。全員で顔を見合わせ、深刻そうな面をしてうなっていた。

 兄弟の勘は百発百中と言ったところか、見事に当たった。

そんなこと、期待なんかしていない。

チョロ松は少々の苛立ちをおぼえた。

「行方不明ってこともありえるんじゃない? やっぱ、警察呼んだほうが……」

 警察――。

「だ、大丈夫! 僕見たから! いたずらだって!」

 焦りをごまかすように、チョロ松は引きつりながらも口角を上げた。

 そのチョロ松の様子に異変を感じたのか、カラ松は眉を眉間に寄せた。

「ほら、昨日も言ったじゃん、見かけたし、そんな遠くないとこだったし! いたずらなんだって!」

 叫ぶように訴えるチョロ松の目には、うっすらと涙がにじんでいた。自分をごまかすようにも聞こえるその訴えは、哀れでもあった。

 その叫びをさえぎるように、十四松がつぶやいた。

「もし、帰ってこなかったら?」

「やめろっ‼」

 チョロ松は反射的に叫んだ。

「冗談でも、やめろ……!」

 チョロ松はそう言って顔をゆがませた。いっぽう、十四松はそんなチョロ松におびえる様子もなく、まっすぐ見つめていた。その口は、いつものように開き、微笑んでいた。

「万が一って、言うんだっけ? もしもってことがあったらさ、だめでしょ? 一応、警察も呼んでおこうよ」

 「ね?」と優しく微笑む十四松におされるように、他の兄弟たちも微笑んだ。

「チョロ松兄さん、十四松兄さんの言う通りだと思う。警察、呼ぶね?」

 トド松はそう言って、下へ降りて行った。それに続き、十四松、一松、カラ松と、降りて行った。

「……」

部屋に取り残されたチョロ松は、神妙な顔をして、唾を飲み込んだ。

 

 それから少しして、警察が来た。事情聴取に関わりたくなくて、チョロ松は、部屋で一人うずくまっていた。

 警察が、捜索をやめたら。やめる時まで、おそ松が帰ってこなかったら。チョロ松は、それをひどく嫌った。そうなると、もう会えない気がして。怖くて。でも、おそ松はここにいないから。

「もう、どうしようもないじゃん……」

 チョロ松はそうつぶやき、折り曲げた足に顔をうずめた。


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