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Channel: 六色 ~おそ松さん 少し悲しげな六つ子のお話~
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六色 2章 2-1

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おそ松がいなくなってから、半月が経とうとしていた。焦りや不安は、もう隠しきれない。兄弟で話す機会も減ってきていた。

 そこに、突然の来訪者が訪れた。

 

「神、松?」

「久しぶり」

 5人はあっけにとられ、呆然と神松を見つめた。神松はその視線に曖昧な笑顔を浮かべて、話し始めた。

「あのさ、みんな」

「神松、お前今までどこ行ってたんだ?」

「うん、その話はまた今度するから。それより、みんななら気づいてるよね」

 神松は真剣な顔つきになってそう言った。

 はっとしたように、チョロ松は肩を震わせ、口をキュッと結んだ。

「最近、1人の気配を感じにくくなったんだけどさ」

 1人。

 その『1人』の正体は、もうわかっている。だが、誰も口には出さなかった。

「もしかしてだけど、1人、いない?」

「ちがう! いるよ! おそ松兄さんは!」

 チョロ松が叫んだ。あの出来事を疑う自分がひどく憎くて。どうせなら、なかったことにすればいいのに、チョロ松はそれさえもできなかった。

 神松はチョロ松の様子を見て、状況を察したようだった。だが、そんな気配りなど、なかった。

「ずっと、妙な違和感があってさ。なんか、自分の中の1人が姿を消したような……。もしかしたら、死んでたり――」

「てっめぇっ!」

 神松の言葉をさえぎると、チョロ松はつかみかかった。

「冗談もほどほどにしろ! おそ松兄さんは、おそ松兄さんはっ! 生きてる! わかってんだろ⁉」

「チョロ松兄さんっ!」

 今にも殴りそうなチョロ松を、トド松が押さえこんだ。それでもチョロ松は必死にもがいて、トド松から逃れようとした。

「神松、やめておけ。はっきり言って、俺もきつい冗談にしか聞こえない」

 カラ松は、震える手をグッと握り、そう言った。カラ松の声を聞き、神松は、部屋を見回した。膝を折り曲げて座る一松。おろおろとした様子で一松の隣に立つ十四松。怒りを感じながらも、それを顔に出さぬようにうつむくカラ松。息を荒げながらとびかかろうとしているチョロ松に、それを押さえながら涙をごまかすトド松。どの顔にも、不安や悲しみがあらわになっている。

 神松はフッと息を吐き、遠慮気味に笑った。

「今は、何言っても無駄だよね。僕も調べてみるよ」

 そう言って、神松は部屋を出て行った。


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