「昨日もいなくて……。きっと戻ってくるって気にしなかったんだけど」
おろおろとしてトド松が話す。そこに、カラ松が入ってきた。
「心あたりのあるところに電話かけたが、どこにもいないそうだ。ちょっと探してくるから待っといてくれないか?」
気づくと、十四松と一松も真剣な表情でカラ松の話を聞いていた。
おそ松がいなくなることは初めてではない。そこから見ると、全員不安な勘がはたらいたのだろう。
「だ、大丈夫だって。おそ松兄さんがいなくなるの、よくあることじゃん。朝からパチンコでも行ってるんだよ」
チョロ松がうつむきながら言った。その声は頼りなく、自分に言い聞かせているようだった。
チョロ松の様子を見て、カラ松はまた口を開いた。
「パチンコ、どこの店に行ってるのか見てくるな? なに、朝ごはんには戻ってくるさ」
カラ松は優しく笑ってみせると部屋を出ていった。
「僕も行く!」
今まで話さなかった十四松がカラ松のあとを追いかける。その横にいたはずの一松もいつの間にか部屋から出て行っていた。
「あの3人じゃ心配だし、僕も行ってくる」
トド松も部屋から出ていき、1人残されたチョロ松はグッと拳を握り締めた。