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Channel: 六色 ~おそ松さん 少し悲しげな六つ子のお話~
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六色 2-2

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 真夜中の公園。いつもより寂しげな雰囲気が漂う。チビ太は店じまいを始めようかとしていた。ふと、空を見上げて思うことがある。

 最近、あいつらが来ないな……。

 長男がいなくなって大変なことになっているとは聞いた。しかし、あいつら六つ子がいないと、調子が狂うのも事実。少し、心配だ。

 そこに、のれんをくぐる影が現れた。

「お、悪いね、お客さん。今日はもう閉じようかと――」

 チビ太は影の正体を見、尻すぼみに言葉を濁した。開いた口が塞がらない、というのはこのことか。目を見開き、乾いた唇を開いて影の正体を口にした。

「おそ松――」

「よっ」

 松野家で突然姿を消した長男――松野おそ松がそこにいつもの調子で佇んでいた。

「おまっ、どうして! みんな心配して……!」

 何から聞けばいいのか、チビ太は混乱しておそ松を見た。おそ松は「まぁまぁ」と笑い、チビ太をなだめた。チビ太が怒ったような、悲しいような、そんな表情をして口を閉じると、おそ松は苦笑して椅子に座った。

 少し静かな時間が経った。肌が痛いような凍った風が頬を撫でつけ、2人は白い息を吐いた。そうしていると、おそ松が不意に口を開いた。

「あのさ、チビ太」

 頬杖を突き、空を見上げて何か思い焦がれるような佇まいでそう呟いた。

「俺、生きんの嫌になってきた」

「は、はあ⁉」

 思いもしない発言に怒号と悲痛が混じるような声を出す。

 おそ松は目線をチビ太に移し、ニヤリと笑って見せた。

「なーんちゃって。嘘、嘘」

 右手をひらひらと振って、おそ松は机に突っ伏した。

「……でもな、本当に死にたいなって思うくらい弟とうまくいってねーんだよ。どうすっかな」

 腕にうずめていた顔を上げ、目だけを伏せるおそ松に、チビ太はどこか安心感をおぼえた。少し口元をほころばせると、おそ松の隣におでんを置いた。そのおでんは、風に当たって生ぬるくなっていたが、冷えた体を温めるにはちょうどよかった。

「そんなの、いつもみてーに仲直りすんだろ? 今悩んでもしょうがねえじゃねえか。しっかりしやがれ、バーロー」

 おそ松は目線をチビ太に移し、目を細め、笑った。

「そっか。そうだよな。ごちそーさん、チビ太」

 横に置かれたおでんを一口つまんで、おそ松は立ち上がった。そして、家に向かって歩き出していった。

「おう! ……あ。金払えバーロー!」

 チビ太の久々の叫びは寒空にこだました。


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